ここに物語が

ここに物語が

41 梨木香歩 新潮社

「本当のリーダーのみつけかた」以来の梨木さんである。私が心から信頼する作家のひとり。

これは、作者が新聞、雑誌、書籍などに寄せた、好きな本にまつわる書評、評論、解説文をまとめた本である。彼女が一読者として、どんな本が好きなのか、どんな本を読んできたのかがわかる。古くは2002年から、最近では2021年まで。インターネットが発達し、コロナが蔓延し、テロや戦争が起き、世の中が分断されていった日々、梨木さんは何を読み、何を考えていたのかが伝わってくる一冊。

世の中で持ち上げられ、大幅に売れた本はほとんど取り上げられておらず、題名すら知らなかったような本が大半。そして、彼女の紹介を読むと、どれも「読まなくっちゃ」と思えてくるから大変。これから読む本リストは埋まる一方なのに、読書力は年々衰えていく。間に合うかなー、私。生きてるうちに読みたい本を読みつくせそうになくて、焦る、困る。

もちろん他にも様々な本が紹介されている。私はこの「ハテルマ シキナ」をはじめとしてかなりの数の本を図書館に予約した。こうやって知らなかった本に出会えることは、人生の幸せである。