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「ここは退屈迎えに来て」山内マリコ 幻冬舎
2008年「女による女のためのR-18文学賞」を受賞するも、本を出せない不遇の時代が続き、みんなに心配される。本作がやっとやっとのデビュー作!
という自己紹介が、そのまんまこの本の雰囲気を表しているような。
華々しく認められたい、自分の能力を存分に発揮したい、でもなかなかそれができなーい!!!と叫んでしまいたい人たち。
かと思うと、本人がそれを気づかないうちに、知らない内に目立っちゃって、華々しい存在になってるのに、その価値に気づきもしないで、そのうちに価値そのものを失っていってるのに、それを残念とも思っていない人も出てくる。(ややこしくてごめん。)
こういう話って、たいてい、東京対地方という構図になってくるなあ。「あまちゃん」みたいにね。
それもわかるんだけど、確かにそうなんだけど、私みたいに地方と東京をウロウロ行ったり来たりしながら生きてきた人間にとっては、東京も地方も、だから何?ってどこかで思っちゃってて。でも、それだって偏見にすぎないと言われればそれまでなんだけどさ。
とにかく、山内マリコさんは無事に文壇デビューを果たしたわけだしさ。この人、面白いのよ、実際。だから、これから、もっと活躍していければいいと思う、ほんとに思う。そうしたら、この人の書くものがどんなふうに変わっていくのか、林真理子みたいになっていっちゃうのか、別の路線を進むのか(まあ、そうであってほしいと願うわけですが)、そのあたりを見て行きたいなあ、と思うおばさんなのであります。
2014/1/9