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「すいみんぶそく」 長谷川集平 童心社
さすが長谷川集平、というか、やっぱり長谷川集平、というか。不安な揺れ動く気持ちがそのまま伝わってくる不思議な絵です。
「やっぱりおおかみ」でも書きましたが、この本も、心にピッタリとくる子どもが必ずいる絵本です。でも、そういう子に、どうやったらこの絵本が出会えるのでしょう。
子どもは、「死」を怖がります。いや、私たち大人だって、怖い。でも、子ども時代のある時期、死はとても大きな壁となって私たちの前に立ちはだかっていませんでしたか?夜、ふと不安になって、このままいつか死んじゃうんだろうな、なんて思うと、うまく眠れない。そういう夜を、私たちはみんな幾度かは経験しているはずです。
この絵本のケンタロウは、それで眠れないのです。かがみちゃんという同級生が入院してから眠れない。恋わずらいだろうなんてシュージには言われますが、そんなんじゃないんです。かがみちゃんが燃えてしまう夢を見たりするんです。
不安は、不安のまま終わるわけではありません。ちょっとだけ、安心させる終わり方をしています。でも、ちょっとだけなんです。
これは読み聞かせには向かないかもしれないなあ。となると、どうやったらこの絵本を、これを読みたいであろう子どもたちに渡せるのかしら。学校司書さんとか、国語の教師がうまいこと橋渡しできるのかしら。
なんだか不思議な気持ちになって、何度も読んでしまう子が、絶対にいるだろうと思う本です。読み聞かせたら3分ちょっとですが、あんまりおすすめは出来ないかも。
2013/7/8