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「ときどき旅に出るカフェ」近藤史恵 双葉社
「キアズマ」以来の近藤史恵さん。いや、「和菓子のアンソロジー」でもちょっと読んだか。この人は自転車レース系も面白いが、お菓子の物語も、すごく美味しそうに描くひとだ。
この本は、独身、アラフォー、恋人なし、美人でもなし、趣味もなしのOLが行きつけのカフェを見つけて、そこに通う物語だ。かつての同僚がカフェのオーナーで、月のはじめにあちこち出かけては旅先で見つけた美味しいものをメニューに載せるというコンセプト。そこにいろいろな事件が絡んで、ちょっとしたミステリ仕立てではあるが、人が死んだりはしないので安心して読める。
登場するお菓子や料理はどれも美味しそうだ。ただ、ちょっと甘みが強すぎるかな。このオーナーさんは甘みを控えることに対しては懐疑的らしい。血糖値の高い私には厳しいメニューかも。って、実際食べるわけじゃないからいいんだけどさ。
終盤に向かって、ややシビアな問題もだんだんでてきて、この残り少ないページ数でどう解決するんだろう・・・と不安にもなる。そのドキドキも含めて、おすすめかも。
2017/5/23