どら蔵

どら蔵

61 朝井まかて 講談社

「グロリアソサエテ」が面白かったので、朝井まかてを続けて読む。吉川英治文学賞受賞作。江戸時代天保年間の骨董商のお話だ。主人公のどら蔵、19歳は奉公先に大損をさせてしまう。実家は道具商で、一応、跡継ぎなのだが、実母が亡くなり、継母は彼を嫌って自分の産んだ次男をかわいがっている。行く場所を失って江戸を目指すどら蔵。たどり着いた骨董商の世界で居候を決め込みながら、個性的な商人たちと出会い、揉まれていく。蔵の中に何があるかも確かめずに蔵ごと買う勝負に出たり、お宝を狙って騙されたり、新奇な商売方法を編み出したり。そして、大塩平八郎の乱を聞き及び、ついに大阪へ帰っていくのだが‥‥。

登場人物が実に魅力的。どら蔵は、いかにも上方の口の立つ、少々おちゃらけた男なのだが、これが実に生き生きしている。彼をめぐる親分や師匠、一時彼を預かる薬屋など、どの人物も愛せる個性の人たちだ。そして、ここはこの人物と、このようになるのでは…という予想を上手に裏切り続ける展開。どこへ流れていくのか、ハラハラわくわくする。少しも飽きずに最後まで引っ張られた物語だった。