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「ふしぎなたけのこ」松野正子・さく 瀬川康男・え 福音館書店
むかしばなしというテーマで絵本を探していたのだけれど、これは、正確には昔話にはならないのかな?昔話というのは、昔から長く伝えられている間に余計なものが削ぎ落とされ、大事なエッセンスだけが凝縮された、人間の本質を描くような民話のことをいうのだとしたら、これは、創作昔話とでもいうべきなのだろうか・・・。
「むかし、むかしのおはなし」と冒頭にあるからいいのかな。
と迷いながら、優柔不断な私、他の昔話と抱き合わせならいいだろうといういい加減な考えで、選択してしまいました。
昔、山奥の村で、お誕生日のごちそうのために、たろが、たけのこを掘りに行って、ひょい、と上着をたけのこにかけたら、それがぐんぐん伸び出して、上着を取ろうとしたたろも一緒にぐんぐん上に登ってしまい、両親や近所の人がたろを助けだそうとたけのこを切ったら・・・。
壮大な物語。たけのこの伸びる様を、横長の絵本の形を思い切り大胆に利用して描いていています。
というわけで、これを読もうと思います、とお話会の打ち合わせで言ったら、これ、公文の教材で使ってますよ、子どもたちはあらすじを知ってるかも、ですって・・・。以前、六月に「雨」のテーマで「おじさんのかさ」を読もうと思った時も、同じ事を言われて断念しました。
それ、絵本を教材に使ってるの?と聞いたら、そうじゃなくて、簡単な挿絵をつけて、一部を抜粋してるだけだったはず、と言われたのですが。このお話を、この絵と一緒にしないで、一部を抜粋して、あらすじを教えるって、本当?そんなことしたら、この物語の魅力は台無しじゃないの!!いや、確かめたわけじゃないので、怒っちゃいけないんですけどね。
それで、すごく迷ったのですが、やっぱり、お話会に読んでみることにしました。だって、この絵本で、この絵で聞いてもらわないと、このお話がかわいそうじゃない?この物語は、圧倒的な絵の力があってこそ、味わえるものだと思うのです。
「しってるー」「わかってるからつまんなーい」って言われるかな。子どもは正直ですから。うーむ。腰を据えて、読まねば。知ってはいたけど、こんなにすごいお話だったんだ!!と思ってもらえるように、おばちゃん、頑張っちゃうからねっ!!
2012/10/6