みんなの想い出アルバム

みんなの想い出アルバム

59宇山あゆみ 河出書房新社

2003年出版「少女スタイルBOOK 楽しき我が家」を改題、新装出版した本だそうです。本の改題には気をつけないと、同じ本を二冊手に入れることになりかねない。奥付に小さい字でひとこと書いてあるだけなのは、どうにかならないかなあ。

それはともかく。同じ年代の友人が、なつかしいというより気持ち悪いほど見覚えのあるものや生活が載っている、と教えてくれたので、見つけて読んでみました。子供部屋にあったおもちゃや人形、お姉さんの部屋にあったぬいぐるみや白いギター、お母さんの手芸や台所の家電製品、応接間にあったものなど。きっと懐かしい人は懐かしいのでしょう。でも、私はほかのお友達ほどおもちゃや人形を買ってもらえない子でした。友達の家にはあったなあ、という懐かしがり方しかできないので、ちょっと胸が痛みましたね。

両親は子供が何かを欲しがることに無頓着だったし、私は欲しいと言えない子供でしたから、仕方ないのでしょうね。そもそもが物欲はあまりないほうではあったけれど、お友達が持っているお人形の家や白い家具などはうらやましかったなあ。あのころは、お人形の服も、母が手作りして、買ってはもらえませんでした。お友達の市販品の人形の服を借りて、これと同じのをつくって、と言ったら、母がもっとたくさんギャザーを入れて華やかな服にしてしまって、友達に「二度と貸さない」と言われたことを覚えています。母は、服だけはかわいらしい華やかなものをたくさん作ってくれて、それを着て学校に行かねばならないのが逆に私はつらかったものです。ただでさえ目立つ転校生が、ドレスみたいな服を着て学校に行くと何が起きるのか、母は想像もしなかったし、私はそれを言えなかったので。

家電製品がやたらと派手な花柄だったのは覚えています。魔法瓶や炊飯器は赤いお花がいっぱいだったっけ。それから、いろんなものにアップリケが付いていたり、刺繍が施されたりしていたものでした。フェルトのマスコット人形作者の大高輝美さんの名前は憶えています。姉が手芸好きだったので、試作品をたくさん私にくれたものです。だから、私自身はほとんど作ったことはないけれど、いろんなものにフェルト人形をぶら下げていたものでした。

懐かしい、というよりも、子供時代を思い返して、もっとちゃんと言えばよかったなあ、でもどうせ買ってもらえなかっただろうなあ、なんてネガティブなことをつい考えてしまいますね。だとしても、今は、欲しいものは何とか自分の判断で何でも買えるようにはなったし、そうなったところで、そもそも物欲は薄いので、本さえ読んで、たまに旅して、観劇できたらもう十分だわ、なんて思いましたです、はい。そんな本でした。