9 宮部みゆき 角川書店
「魂手形」の続編。三島屋変調百物語としては八巻目。江戸は神田の袋物屋の三島屋で行われている、語って語り捨て、聞いて聞き捨ての百物語。聞き手は、始めは親戚の娘、お千佳だったが、今は三島屋の次男坊、富次郎が受け継いでいる。今回は三つのちょっと怖い物語が語られた。
お千佳ちゃんの時代と比べて、なんだかだんだん怖さが増している気がするし、物語も込み入ってきた。今回は語りが複雑すぎてわかりづらい。読みながらしばらく考えて整理したりせねばならなかった。読み手の側が老いたのかもしれないが、ついていけなくなる不安が。
江戸風のゾンビっぽい物語なんかもあったりして。ゾンビがそもそも苦手だからそのせいもあるのかなあ。後味が苦いというか、読み終えてほっとする要素が減ってきている気がする。怪談ものが好きな人は、これくらいの味わいのほうが面白いのかもしれないけれど。