69 しまたけひと 双葉社
鳥取、島根、広島を回る旅をしてきた。その話はまた改めて書けたら書きたい。ところで、旅における大きな問題のひとつは、本をどうするか、である。旅先での読書ははかどる。だが、本は持てば持つほど重い。読む本が足りなくならない程度、重くなり過ぎない程度の選本はいつも難しい。今回は三冊用意したが、案の定足りなくなって、スマホの中にある電子本に頼ることになった。この「アルキヘンロズカン」はずいぶん前に夫が電子購入していたもので、どういう経過でこれを選んだのかも記憶にないそうだ。少し前に贔屓の作家、宮田珠己がお遍路に興味を示している時期があったような気がするので、その関連で買ったのかもしれない。
「アルキヘンロズカン」は漫画である。四国八十八カ所の寺を巡れば願いが叶うと信じられるのが遍路。漫画家として行き詰っている男と、いつも不機嫌な女がそれぞれに歩き遍路旅に出る。「お接待」と呼ばれる地元の人による差し入れや宿の提供、そして遍路旅行者同士の触れ合いや軋轢、時に起きる犯罪まがいの出来事。それらの経験が描き出されている。
お遍路には興味がないわけではないが、もう無理だろうと思う。体力が続かない。その昔、西原理恵子と群ようこの対談で双方の母親がヘリコプターお遍路という豪華な旅に出た話なんてしていたのを思い出す。ヘリコプターほどじゃなくても、車でサクッと回る車遍路もあるらしい。だが、歩き遍路じゃないとご利益はなさそうだなあ。
この漫画家は複数のペンネームを使って漫画を描いているらしい。この漫画は結構面白かったけど他にどんな漫画を描いているのだろう。もしお遍路旅に出る予定の人がいたら、これを読んでから行ったほうがいいかもしれないよ。
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