グロリアソサエテ

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2026年4月11日

54 朝井まかて 角川書店

夫のおすすめ本。朝井まかて、なんか読んだことがあるぞと思って調べたら、あらまあ、ずいぶん読んでいた。「類」「グッドバイ」「恋歌」「ボタニカ」。どれも歴史上の、それほど有名ではない人を取りあげて人となりを丁寧に描く作品ばかりだ。知らないうちにこの作者のお世話になっていたんだなあ、私(笑)。

民芸運動の立役者、柳宗悦の京都の屋敷に女中奉公に上がった少女、サチ。声楽家の奥様、二人の息子、ばあやと呼ばれる女中頭。そこへ陶芸家の河井寛次郎や濱田庄司も現れる。日用に供される品に自由な美しさを見出す彼らは民芸運動に乗り出す。その背景が描かれる物語。

東寺の弘法市で手に入れた古くてにおいの染みついたぼろ切れをサチとばあやがたらいの水でせっせと洗い上げるとうつくしい古布が現れる。ほこりにまみれた汚い陶磁器も美しい器になる。だが、そうしたものを金に糸目をつけず買いあさり、後始末は周囲に丸投げの主人でもある。そんな主人を、時に喧嘩をしながらも支える奥様。彼女は自分の夢をあきらめない女性でもある。彼らの日常。日々の食事の描写は本当においしそうで一緒に食べたくなるほどだ。サチの小さな秘められた恋もそっと描かれる。最後まで読んで、心が温かくなった。良い物語だった。

民芸美術館は今も世田谷にあって、何度か行ったことがある。また行きたくなった。この物語では十歳のかわいい少年として登場した柳宗理のデザイン研究所が金沢にあって、センスの良い日用品が並んでいたのを覚えている。どうやらこれから彼の博物館もできるらしい。また、益子には濱田庄司記念益子参考館もあって、温かみのある陶芸作品が展示されている。そういえば、京都には河井寛次郎記念館があって、そのままそこに住み着いてしまいたくなるような居心地のいい場所であった。いいなあ、好きだなあと思っていた人たちが次々登場して、なんだか楽しかった。最後に、沖縄にも行きたくなった。行ったことがある場所が登場すると物語が立ち上がってくる。だから、旅はやめられない、とも思った。

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サワキ

読書と旅とお笑いが好き。読んだ本の感想や紹介を中心に、日々の出来事なども、時々書いていきます。

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