36 能町みね子 東奥日報社
「正直申し上げて」以来の能町みね子である。能町さんが青森好きだということは知っていた。たぶん、エッセイやコラムにそういう話を書いていらしたのだと思う。私も青森は大好きなので、気持ちはわかる。ただ、能町さんは青森に買い物をしに行くと書いている。そこは違うなー。私は、青森には温泉と緑に浸りに行くものだから。
夏の暑さを逃れて青森に行く気持ちはよくわかる。我々夫婦も、ここ数年の夏の暑さに耐えかねて、夏はどこかに逃げ出そうかと相談中である。数年前、夏に札幌に行ったら、札幌ですら暑すぎて、もう日本には逃げ場所はないのか…と思った。能町さんは、弘前は青森の京都だと書いている。弘前には憧れるが、盆地なので暑すぎるんだそうだ。その点、青森市は海辺なので案外涼しい、と。そうなのかあ。私も弘前は大好きだ。弘前が涼しかったら、夏の間だけ、弘前におんぼろアパートでも借りて避暑してもいいくらいだと思ってたんだが。札幌より青森のほうが涼しいのかなあ。
青森で買う服のすばらしさを能町さんは書いている。新宿中の店を歩いて一つも良いものがなかったのに、青森のとある店に行くと、欲しいものだらけなんだそうだ。そういえば私のお気に入りの靴下も十和田美術館のミュージアムショップで買ったものだ。田舎の素朴さとかじゃない。本当にクールで素敵なのだ。それ以外にも、津軽塗のお椀やお箸、そこいらのスーパーの新鮮な魚介、ポポという不思議な果物、べこ餅に雲平というお菓子など、青森でした買い物が実に生き生きと描かれている。リンゴは買うもんじゃなくてもらうもん、というのもなかなか楽しい。
青森は良い。行ったことのない人はぜひ行ってみて。なるほど、青森の森の深さ、緑の美しさは尋常じゃない、だから青森って言うんだな、とつくづくわかるから。ああ、青森に行きたくなってきちゃった。