バックパッカー・ヴアイタミン

バックパッカー・ヴアイタミン

119 さいとう夫婦 旅行人

その昔、旅の雑誌「旅行人」を出していた蔵前仁一さんが、紙の本の出版を終わらせるため、在庫の本を放出、その時に購入したのがこの本。2008年初版で、これは2009年の第二刷。15年前だわ。しかも、その本には過去10年間の旅の思い出が描かれているので、25年前のバックパッカー旅行事情が載っている。まだネットもスマホもなかった時代の、口コミだけで旅をしていた頃の話は隔世の感がある。

子どもを育てるのに必死で、安全ですぐ帰れる場所にしか旅行できなかった時代、私はこういう旅の本をたくさん、たくさん読んだ。自分の代わりに世界中を旅してくれる人からの報告を読んで、自分も旅した気分になっていた。旅先の安宿にあるボロボロになった日本語の本。長いこと安宿に停泊して、いつ日本に戻るとも知れない日本人たち。現地の不思議な食べ物、お土産品。いつの間にか顔見知りになった現地の友達。そんな幻想を抱きながら、日常を生きていた。

さいとう夫婦は子連れでも海外に頑張って行っていた。チェコやオランダ、ポナペ、バリ、シリア。今となってはシリア旅行なんて夢のまた夢だ。旅先で漫画を描いては郵送して、それが仕事だった。すごいなあ、ヴァイタリティだなあ、と思っていた。

この二人はお土産もたくさん買う。旅先で自分のものはほとんど買わない私とは対照的だ。地元にしかないもの、そこでしか手に入らないものをじゃんじゃん買って、日本に郵送する。一年かけてボロボロになって届いたりするからすごい。旅ばかりしているのに、日本ではペットを飼う。チンチラ、海老、オオハシ(鳥)、金魚、ハムスターなど。すごいなあ、良く世話できるなあ。

買い物もしない、ペットも飼わない、子どもを連れて遠出もしない。我ながらエネルギーが枯渇してたもんだなあと改めて思うが、まあ、その代わり、引っ越しはしまくったからなあ。などと遠い目になる私であった。今はもう、ネットのおかげで旅はすごく便利で楽になったけれど、その分、ワクワクドキドキする部分は減ったのかも。まあ、それでも結構大変な時は大変なんだけどさ。