ペンギンたんけんたい

ペンギンたんけんたい

69 斎藤洋・作 高畠純・絵 講談社

お互いの子どもが赤ん坊時代からのママ友と、今も仲良くしてもらっている。二人とも育児も仕事も引退して、自分の時間を楽しみながら、たまに近況を報告しあっている。彼女は絵を描く才能があり、季節の動植物の美しい観察絵日記をいつも送ってくれる。昨年は南半球までペンギンに会いに行った。自然への愛溢れる人である。

そんな彼女が、ペンギン関係者からペンギンにかかわる絵本のアンケートを依頼された。児童文学なら、いぬいとみこの「ながいながいペンギンの話」や斎藤洋の「ペンギンたんけんたい」があるけど、絵本となると…と探したら、どうわ「ペンギンたんけんたい」が絵本化されているのを発見。読んだけれど、どうわ版の良さが失われている…というので、読み比べてみた。

ざっと物語を紹介すると、どうわ版では50羽のペンギンがみなみのしまにやってくる。先頭はたいちょう、後ろがふくたいちょう、その後ろがふくふくたいちょうで四番目からは普通のたいいん。「えんやら どっこい。えんやら どっこい。」と掛け声をかけながら彼らは行進する。ライオンや、ニシキヘビやワニに会っても意に介することなく進んでいく。大きな山に登り、そこで大きなきょうりゅうに会っても目もくれず、島をぐるっと眺めると、下山して、最後にみんなで看板をつくる。さて、それはどんな看板だったのか・・・。

どうわ版では50羽いるペンギンが、絵本では10羽に減らされている。淡々とした文体が、感情あふれるセリフに改変されているし、みんなの掛け声やたいちょうたちのやりとりの繰り返しも省略されている。文章のリズムがくずれ、そこから生まれるユーモアも失われている。最後の看板への期待を、ページを追って引っ張る余地も残されていない。

出版社は読み聞かせ用にと考えたらしい。が、見開き2ページにそれぞれ違った絵が載せられてしまっているので、開いたとたんにその次の展開までわかってしまうし、見る側の視線も定まりにくい。何よりページをめくるわくわく感が半減している。

どうわ版「ペンギンたんけんたい」が出版されたのが1991年。絵本化されたのが2022年。なぜこんなことになったのだろう。スマホやゲームやyoutubeなど刺激の多い現代社会に合わせて、展開が早く、感情の起伏の激しいキャラクターがあっという間に結論にたどり着く絵本のほうがよろしかろうと判断されたのだろうか。

なんとも残念な絵本化である。私がどこかの子どもに読み聞かせるなら、断然どうわ版のほうを選ぶ。物語の良さは、一見無駄に見えるものの中にこそ潜んでいる。