142
「ポーの一族 春の夢」萩尾望都 小学館
「ポーの一族」は全巻読んでいたはずなのに、なんだか全然覚えていない。この本は最新刊なのだが、一冊としても独立して読めて、大変面白かった。もう一度読み返さなくっちゃなあ。
「なのはな」を読んだことを思い出した。萩尾望都は原発事故の後、すぐに「なのはな」を描いた。その時に感じたことを、敢然と発表したのだ、と私は思った。
40年ぶりに描かれた「ポーの一族」の中にも、私は同じものを感じる。今の世の中に対する疑問、違和感が、第二次世界大戦中のイギリスを描きながら、その奥に秘められ、訴えかけてくるのを感じる。閉塞感の擬似性に震撼する。
2017/12/26