47 井上荒野 祥伝社
いやほんま、ままならないわあ。と何故か関西弁になってしまう。井上荒野の、なんともザラザラした諦観に触ってしまった感じ。
アル中のママをもってしまった小5の女の子の、妄想上のお姉さんに生活が侵食されていく感じ、友達を振り切ってしまう感じ、体がぐずぐずと成長していく感じ。最初の短編のリアルさにぞわっとする。
悪い病気かもしれない、妻を置いてどこか知らないところへ一人で逃げて一生を終えてしまう想像なんかを働かせながら、結局はちゃんと禁煙してしまう中年男のとほほ感、二篇目も、笑いながら苦いものがこみ上げる。
他の短編もみんな、日常の苦味、見ないふりをしている棘、ざらついた感情が描かれて、ああ、井上荒野ってこうだったな、と改めて思う。
生きるって、ママナラナイ。まさしく題名のとおりだね。この処、ぼんやり、のんびり、呆然と日々を送っているので、こんなザラつきさえも新鮮に感じたりして。ママナラナイのは、実はコロナなのよ~、といいたくなる私。