マリコ、うまくいくよ

マリコ、うまくいくよ

75 益田ミリ 新潮文庫

益田ミリ。最初苦手で、だんだん好きになったマンガ家である。

同じ職場に働く20代、30代、40代のマリコたち。お茶当番が当たり前にあり、女性管理職がおらず、育休を取る男子職員などいない会社。他課のカラオケ大会に若い女性だけが呼ばれ、「女の子らしい」と褒められたりする。マリコたちにいつも気をかけてくれる、仕事のできる桑田さんが社内初の女性部長に昇進すると、男子社員は「おばさん部長」と呼んだり「結婚してないからできるんだろう、こっちは背負うものがあるから頑張れるんだがな」などと悪意もなく噂する。それぞれに心の中がざわざわするマリコたち。世代ごとに感じ方、立ち向かう壁は少しずつ違うけれど、マリコたちは似た様な疑問や不安を抱いて働いている。

この漫画の初出は平成30年だというので、もう六年以上たっている。働く現場の事情も、今はまた少し違ってきているのだろう。それにしても、平成30年段階で、まだ女子職員だけお茶当番を受け持ったり、女子管理職がいないのが当然だったりしたのかと改めて驚く。会社勤めから遠のいて久しいからなあ。

当たり前になってしまっているから気が付かずに通り過ぎてしまうようなことを、このマンガは丁寧にすくい取っている。声高な主張も、はっきりした意見も明確には出さない。ただ、ぼんやりと感じたことをそのままぼんやりと提示する。そして、その中で徐々に気が付くことがある。

男性たちは、こんなマンガを読むのかなあ。読んだとして、何を感じるのだろう。作中に出てくるように「そうはいっても俺たちには責任があり、背負うものがある。現実はこんなもんだ」と思うのだろうか。

世の中はだんだん変わってきている。女性も同じように働かないと、もう社会は回らなくなっているし、子育ても介護も女性だけに押し付けるのは無理になっている。こんな時代もあったんだねえ、と笑ったり、呆れたりする時代がいつかやってくるのかもしれない。

働く女性を勇気づけるマンガ、と評されているけれど、働く男性に気づきを与えるマンガでもある、と思いたい。