モナコ・フランス旅行記3

モナコ・フランス旅行記3

2024年8月26日

セレブな街、モナコの巻

翌朝、見たこともない形状の洗濯機と格闘して何とか動かすことに成功する。と思ったら、動いたまんま、いつまでも止まらない。どうしたものかと思っていたら、二時間近く回ってから止まった。とにかく洗濯はできていた。それ以外のやり方がどうにもわからないので、結局、滞在中は毎朝二時間近く洗濯機を回していた。RAPID(短時間での??)というボタンを押しても時間は短縮されなかった。

まあ、それでも毎朝洗濯できるのはありがたい。旅先で毎晩、入浴時に下着を手洗いするのはいつも面倒なことだったからね。洗面室には折り畳み式の物干し台もあって、朝干せば夕方までにはからりと乾いたのも助かった。モナコは湿気がない。暑いけど。

カフーで買った食料で朝ご飯。旅先で料理なんてめんどくさい、と前は思ってたけど、食べたいものを食べたい量だけ食べられるのはありがたい。洗い物も食洗器がやってくれるし。そんなこんなで旅先でのアパート生活って快適。

バックギャモンの会場は、アパートから歩いて七、八分のところにあるフェアモントホテル。モナコグランプリで有名なヘアピンカーブに面している。海外のバックギャモン大会では、たいていの場合、会場となるホテルに参加者は宿泊するのだが、ここは値段が高すぎるので、多くの人は他を探す。夫は17年前に来た時、いつかここに泊まってやる、と思っていたそうなので、今回は清水の舞台から飛び降りる気持ちで、ラスト二泊だけはフェアモントの部屋を予約してある。

坂の町、モナコの上の方から延々降りたところにフェアモントはある。ということは、帰りは延々登る。ショッピングモールやビルの内部のエレベーター、エスカレーターを活用して、少しでも上り坂を節約するルートを、代々のモナコ選手権参加日本人が発見、伝承している。それを逆に辿りながらショッピングモールのなかのエスカレーターなどを乗り継ぎ、会場へ到着。

ところで、モナコは世界で最も物価が高く、裕福な場所のひとつだそうだ。タックスヘイブンの側面があるのでお金持ちがひしめいている。通ってきたショッピングモールにはハイブランドの店が並び、幼児向けのキラキラのグッチのサンダルだの、子ども用シャネル製ジャージだの、信じられないものが売っている。街を歩く人も、頭の先から爪先まで身に着けているものを換算したら何百万ユーロかかってるのか?みたいな様子である。そして、フェアモントの前には、日本で見られないようなスーパーカーが何台も止まっており、それを撮影する車オタクたちがひしめいている。そんな中を、ヨレヨレの貧乏旅人の我々がいく、この場違い感といったら・・・。



ガラス製の回転扉を通って、フェアモントホテルに入る。すっごく高そうなトランクをいくつも載せた台車を制服姿のポーターが押し、モデルみたいにきれいなコンシェルジュが数人、客の注文に耳を傾けていたり。

長いロビーを通ってずんずん行くと、バックギャモン会場は大広間にある。入り口近くには参加登録のカウンター。スマホからネットで登録したのち、エントリーフィーを支払うらしい。日本から集結したギャモン好きもちらほら現れる。元バックギャモン協会長で歯科医のSさん夫妻、病気を克服して世界チャンピオンになった女性としてマスコミにも紹介されたYさん、何度も世界チャンピオンになっているモッチー氏、国内外の大会での優勝経験豊富なミッチー氏、我々の関西在住時代から30年来の知り合いのTっち夫妻、もちろんサムハウスの皆さん、などなど。ちなみに、カムチャッカ半島のあおりを受けて飛行時間が延び、アムスエルダムでトランジット失敗の憂き目を見た人もいた。うちだけじゃなかったのねー。

そこへマダムKが登場。マダムKも30年前、我々の関西在住時の大阪ギャモン例会以来のお仲間の一人で、某レストランのオーナーである。長い間、毎年のように、モナコだけでなく、他の海外の大会にも参加されており、今回も、当然、フェアモントに最初から最後まで連泊されている。「私、こういうのはダメなのよ」とネット登録は最初から放棄して、直接カウンターに行くと、そのまま丁寧に受け付けてもらえたみたい。マダムKは、ギャモン界では特別な存在であり、世界中の皆さんからも一目置かれている。

マダムKが、フェアモントの自分の部屋を見るかというので、Tっち夫妻ともども、見学に行く。確かに広くてきれいだ。部屋に置いてあったという高級そうなチョコレートなどいただき、「疲れたらこの部屋で勝手に休んでいいわよ」と言っていただく。「日本人が大勢来るはずだから、みんなでお食事に行きましょう、私がご馳走するわ」ですって。そういえば、17年前もそんなことがあったと聞いたような。結局、今日はみんな忙しいから、明日、食事会にしようか、と話がまとまっていた。

皆さんと挨拶が一通り済んで、Tっち夫妻と昼食に行く。フェアモントから歩いて五分くらいのカジュアルなレストランで、ブルーチーズのハンバーガーとチキンシーザーサラダを夫とシェア。パンやフレンチフライが大量に添えられていて、二人がかりでも全部は食べきれない。海外の食事は、どうしてもこうなっちゃうんだよな。Tっち夫妻はミラノから陸路で来たそうだ。チケットを手配して長々鉄道に乗ったが、一度も改札も検札もなかったという。そうなのよ、我々もイタリアでほとんど検札にあわなかった。あれは、ただ乗りできちゃうよね。でも、たまに見つかると、とんでもない罰金を取られるそうだから、やっぱりちゃんと買っておかなくちゃね。

午後からは、バックギャモンの試合が始まる。夫はモンテカルロオープンの第一試合。当初の予定では、夫の試合中は、私は一人でモナコ観光を楽しむ予定を立てていた。だが、想定外の暑さと、積み重なった疲労で、遠出をする元気がない。仕方ないのでフェアモントホテル近くの庭園と、さっき通った豪華なショッピングモールをぶらぶらする。



と言っても、公園をちょっと歩くだけでひどく暑く、熱中症になりそう。三階建てのショッピングモールを端からぶらぶらしてみたが、ハイブランドだらけで何の興味もわかない。本屋があったので覗いてみたら、コミックコーナーにランキング表が貼ってあって、1位が「Dragon Ball」、2位が「One-piece」だったのでちょっと和んだけど。

ホテルに戻って、奥まったロビーでひたすら読書。一番奥にはキッズクラブがあって、宿泊客のお子さんたちを預かってるらしく、なかなか賑やかだ。時々、私のソファの横を小さなキックボードで幼児が走り抜けたりするのもご愛敬。

そうこうするうちに、夫は負けてしまった。どうも海外だと調子が出ない、のだそうだ。ほかの日本人組も、勝ったり負けたり。まあ、まだ初戦で、これからいくつも試合はある。疲れたし、今日は早めに帰ろう。

帰りに、昨日ビールを飲んだマルシェの肉屋でおいしそうなソーセージを買う。肉屋のあんちゃんが着ているTシャツをよく見たら「死神」と書いてある。「あら、それ!」と言ったら、得意そうに胸を張っていたけど、漢字の意味、分かって着ているのかしら。写真を取らせてもらえばよかったなー。ご機嫌のあんちゃんに支払いを済ませて、部屋に戻る。ソーセージはおいしゅうございました。

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