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「ヴェネツィア便り」北村薫 新潮社
ひどい台風でしたが、皆様ご無事でしょうか。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
私の住む地域にも避難勧告が出て、防災アラームがひっきりなしに鳴り、落ち着かない夜を過ごしました。幸い我が家は被害はなかったのですが、今日、買い物に少し足を伸ばしてみたら、大きな川の側は浸水被害があったらしく、泥をかき出したり、水をかぶったものを片付けたりの作業が行われていました。新幹線の距離で離れたところに高齢の母が一人暮らしをしているので、台風が近づく前から何度も連絡を取り、近くの姉が事前に様子を見に行ったりもしてくれて、なんとか事なきを得ました。が、こんなことが何度もあったら、いつまでも一人にはしておけないなあ、と考え込んでしまいました。それにしても、来年のオリンピック時期にこんな台風が来たら、一体どうするのでしょうか。
それはともかく、「ヴェネツィア便り」です。北村薫づいているのは、夫が大量に借りてきたからで、それというのも、「本の雑誌」で北村薫の特集を組んだかららしい。この方、最初は覆面作家としてデビューなさって、柔らかい文体で、若い女の子の心理を描くから、女性だとばかり思ってたら、おじさんだったんですよね。うふふ。この「ヴェネツィア便り」は短編集です。夏目漱石の「夢十夜」を思い出すような、ちょっとぞっとする話とか、不思議な話とか、ほんわかする話とか、色んなテイストが混ざっています。私は怖い話があんまり得意じゃないので、うわ・・・と思うのもありました。でも、北村薫はうまいから、最後まで読んじゃうんですな。
ヴェネツィア好きの夫はタイトルに惹かれて借りたそうですが、ヴェネツィアのお話は、本の最後の短編だけでした。
2019/10/14