162 吉本ばなな 新潮社
吉本ばななの作品を読むのは数十年ぶりかも。北山修との対談本「幻想と別れ話だけで終わらないライフストーリーの紡ぎ方」なら読んだし、あれは非常に良かったのだが。
六篇の短編が収めらている。死の影が濃かったり、傷ついている人が登場する物語ばかりだけれど、温かいものが底には流れていて、ほっとする、前を向ける、明日を生きていけそうな気持になれる。
舞台は台北やヘルシンキやローマや八丈島など。いろいろな場所で、悲しい思いを抱えてもなお大事な人との出会いや関係性を大事に生きていこうとする主人公。こういう静かな温かさをくれる本はいいなあ。
吉本ばななの小説は、食べ物がいつもおいしそうだ。おいしいものをおいしく食べることは、人生の重要な幸せの一つだということがわかる。
とてもつらくなったとき、一人ぼっちだと感じた時に読むといい本。好きだな。