12 高野秀行 福音館
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、誰も書かない本を書く」がモットーの高野秀行の子供向け納豆本。ここ数年の彼のテーマ、納豆の本は何冊か出ていたが、子供向けに書かれたこれはまた非常に秀逸だ。ま、高野さんの本は全部面白いから間違いないんだけどね。
納豆は日本独特の食物だなんて思っている人も多いらしいが、実はアジア各国のみならず、アフリカでさえ作られ、食べられている。納豆菌はそこら辺の葉っぱや木に普通にくっついているので、大豆を適度に煮て葉っぱにくるんで発酵させればできちゃうのね。ただ、おいしくできる時と、それほどでない時があるので、納豆づくりはすごく簡単だけど、難しい。
高野さんは長いこといろいろな国で納豆を調べて実際に食べてきた。いろんな料理法が登場するけれど、どれも本当においしそう。私は納豆大好きなので、各国のいろんな納豆を食べたくなってしまう。ミャンマーの「パー・ナンピック」はすごくおいしそう。魚にハーブやスパイスと納豆を入れて揚げたもの。ブルキナファソのバオバブの種で作った納豆のスープも、コクがあってくせになりそうだ。それにしても、それぞれの国で個性的な料理にされているんだなあ、納豆って。
納豆は豪華なごちそうというよりは、家族で楽しむ食べ物だ。本当に親しい人と囲む食卓にあるのが納豆。そう思うと、さらに大事な食べ物に思えてくる。納豆から世界を見る。納豆から家族を思う。いい本だった。