全国暗渠観光ガイド

全国暗渠観光ガイド

110 高山英男 吉村生 学芸出版社

副題は「街と歴史のウラ名所めぐり」。暗渠とは、元々あった川や水路の流れにふたをしたり、地下に移したもの。ブラタモリでタモリが渋谷あたりの曲がりくねった道の上で「ここは暗渠だ!」などとつぶやいていたのがそれである。

暗渠は結構あちこちにある。昔は田んぼや畑があちこちにあったから、当然そこに水を引く水路も多かったし、川と生活も密着していた。それがだんだん邪魔にされ、ふたをして上を道路や公園にして見えなくされた。景色も相当変わっただろう。そこに、かつては水が流れていた…と思うだけで、違ったものが見えてくる。歴史が浮かび上がってくる。それが楽しい。

作者二人は「よそ者」の自覚がある、とあとがきに書いてあって、あっ!と思った。転勤族の子で、結婚相手も転勤族で、全国をふらふらと渡り住み歩いた私は、どこへ行ってもよそ者である。よそ者は、あたらしい土地を知りたいと願う。その土地の歴史に触れたいと思う。暗渠を見つけるとドキドキするのはそのせいかもしれない。私はこの二人の作者の気持ちがなんだかわかる。その土地になじむ縁の一つが、暗渠だったりもするのだ。

この本に紹介されたのは23都道府県31事例。私が住んだことのある場所、行ったことのある場所もたくさん載っていた。ぐねぐねと曲がりくねった遊歩道や、細長い公園などは暗渠のことが多いのも知っていたので、「ああやっぱりここが!」なんて楽しんでしまった。単なる道路なのに橋げたがあったり、ただの陸地なのに厳島神社や弁才天があったり、あみあみのマンホールが並んでいると暗渠だとわかりやすい。知らない街を、暗渠を探しながら歩くのも、なかなか楽しそうだ。

単なる街歩きが突然楽しくなる方法の一つ。暗渠探しは世界を広げる。