天満天神繁盛亭とは、2006年にオープンした落語専門の定席。ここに、知り合いが出演すると言うので、おちびのスイミング終了と同時にダッシュで出かけ、開演三十分前に、無事到着しました。時間的に間に合うかどうか不安だったので、前売りも買わず、でも、きっとがらがらなんだろうな・・なんて思ってたら、と、とんでもない!既に、長蛇の列。当日券は購入できたものの、補助席。あと少しで、立ち見になるところでした。
知り合いとは、「めおと楽団ジキジキ」という夫婦のお笑い楽団。最近は、「笑点」に出たり、たけしさんの番組に出たり、露出度が上がってます。プロのギタリストのだんなさんと、某音楽大学出身の奥様。楽屋へ水羊羹を差し入れ、座席へ入ります。補助席なので、一階最後部のパイプ椅子です。小さい劇場だけど、傾斜が程よくついて、舞台はよく見えます。あ、でも、ちょっと舞台が高すぎて、前列のヒトが苦しいかな、と後から思いましたが。
演者は、桂雀五郎から。米朝の弟子の枝雀の弟子の雀三郎の弟子なんだそうで、いわゆる米朝一門の下っ端さんですね。演目は、「子褒め」だったかな。あんまりよく覚えてないや。
それから、桂三ノ助。三枝の弟子です。悪いけど、三枝はあんまり好きじゃない私。何やったんだっけ。鳩が出てくる、創作落語だったような。時事問題を絡めているけど、今ひとつでした。
ついで、桂文珍の弟子の桂珍念。「時うどん」だったかなあ。
ここまでの三人は、似たり寄ったりで、それほど上手とは思いませんでした。もちろん、笑ったけどね。
おちびが、一日経ってから、時うどんは、前聞いたときは、うどんじゃなくて、そばだったし、ぬるいとか、麺が歯ごたえがないとか、だしがまずいとかいうくだりがあったはずなのに、抜けている、と指摘してました。東京と上方じゃ、ちょっとずつ違うのよ、と解説。いや、案外、よく聞いてたんですなあ。
そして、めおと楽団ジキジキ。最初はすべり気味ではらはらしたけど、最終的には、きっちりつかんで終わりました。彼らの一番の持ちネタは、ピアニカのでこ弾き(おでこで、ピアニカを演奏します)で、これは、どこでも受けます。それにしても、このご夫婦、歌声の美しいこと。ハーモニーの響くこと。ギターのうまいこと。うっとりします。
それから、露の新治。「風呂敷」という、間男(と疑われそうな男)を押入れから救出するために、大家さんが一芝居打つ、短い話。枕がなごうございましたわ。
そして、桂ざこば。この方、テレビ番組などでしゃべってるのを聞くと、因業じじい風であんまり好みのキャラじゃないんですが、やっぱり、落語はうまい!時々、詰まったり、どもったりするのまで、味わいになってしまっているのはさすがです。船下りを、子ども時代、自分が橋の上から見ていた経験談から始まって、上手に「遊山船」へつなげていました。声に力があるし、何か、体中から染み出すものがあります。おちびも、身を乗り出して、聞き入っていました。
そこで、中入り。半券を持っていれば、外出も自由です。この間に、天満天神さんへお参り。「合格祈願をして成就したら、お礼参りをしましょう。祈願成就の絵馬とお守りのセットは2000円」という看板が、なんだかおかしかったです。
本当は、ここで疲れたから帰ってしまおうかと思ったのですが、おちびが、面白いからまだ見たい!というので、席へ戻ります。
出てきたのは、金髪に、ピンクに白のラインが入った派手な着物の桂きん太郎。あざといな・・とおもったら、やっぱり、桂きん枝の弟子だそうで。「前科二犯の、弟子でございます。」と紹介していました。やくざの塾の創作落語を演じたのですが、これが、案外に良い出来で、面白かったです。肝が据わっているというか、迫力があるというか。ファンになりそうです。
それから、三遊亭歌武蔵。恰幅のいいヒトだな、と思ったら、本当に、相撲取り出身だそうで、落語ではなく、漫談ですね、相撲界の裏話を話していました。面白くはあったのですが、あんまり品性のある話とは言えず、後味はよくなかったです。
次は、落語家の余芸だと言う曲独楽を、桂米八が演じます。大きな独楽や小さな独楽を自在に操り、おちびは大喜び。落語家って、いろんなことができるんですねえ。
最後は、松福亭松枝。結構なお年寄りで、長老格の方です。お酒にまつわる「替わり目」を演じました。茶瓶のふたをつまみに、とか、嫁さんへの独り言を聞かれて照れたり。子どもには難しい演目だったみたいですね。
やっぱり、ざこばが一番良かったな・・と思いながら、帰ってきました。落語って、噺の中身は決まってるのに、演者で、本当にぜんぜん違って来ます。
まえに、Jさまが大銀座落語祭で「死神」を演じ、それを先日、DVDで見ました。落語家さんたちにも評判が良かったと聞いていたし、それなりにちゃんとできていたとは思うけど、やっぱり、ざこばを聞いちゃうと、素人だなー、としか思えない。じわじわと辺りを巻き込み、作り出す雰囲気は、なかなか簡単にはできないものですね。
集中して聞いていたので、帰宅したら、がっくり、疲れていました。
2009/8/22