133 団長 田尾和俊 西日本出版社
讃岐といえばうどんである。いろいろな特徴あるうどん店を食べ歩くのがレジャーとしてブームになったのは、もう二十年ほど前のこと。それから香川県はうどん県宣言もしたし「讃岐といえばうどん」は完全に定番になった。そのブームの火付け役になったのが麺通団の「恐るべきさぬきうどん」であった。これは「タウン情報かがわ」に連載された「ゲリラうどん通ごっこ」に加筆再編集された本であり、シリーズ化して何冊か出版されている。
2000年初頭に我が家にも讃岐うどんブームはやってきた。我が家の場合、この麺通団「恐るべきさぬきうどん」ではなく、当時広告マンだったさとなお氏の「うまひゃひゃさぬきうどん」という本がきっかけであった。子どもが小さかったし、車も運転しないので、実際に四国に行くわけでもなく、ただただ冷凍うどんをすすりながら讃岐うどんに憧れていた。当時四国在住のネット友達に谷川米穀店のうどん玉を送ってもらった思い出もある。その後、やや遅れて麺通団「恐るべきさぬきうどん」を読み、四国のうどんの名店や迷店の数々の情報を得た。
何年も経ってから四国の金毘羅山に旅行に行って、旅館で出されたうどんがことのほか美味しいのに感激したこともある。最近は琴平町にある旧金丸座のこんぴら歌舞伎を見に行って、そのときも現地や高松市でうどんを食べた。実においしかった。ただ、私には持病があってあまり大量の炭水化物を摂取することに難がある。なので、うどんの食べ歩きをすることは無理である。残念だ。
で、この本である。讃岐うどんブームをけん引した麺通団による15年ぶりの書下ろし本である。前からの芸風通りおちゃらけが基本ではあるが、うどんブームがどのように始まり広がって行ったのか、その中でどんな特色のある店があったのか、どこが閉店し、どんな店が開店し現在に至っているのか、などが記されており、かなり資料的な側面が強い。ブームの時期にいかにメディアにうどんがこすられまくったかも具体的に明らかになっていて興味深い。
巻末には1993年のレジェンドうどん店6店舗の探訪記が再掲されていて、懐かしく読んだ。というか、これ、ページの水増しじゃん、と少し笑った。
うどんはおいしい。食べ過ぎないように、たまにうどんを楽しみながら生きていきたい私である。
