急に具合が悪くなる(映画)

急に具合が悪くなる(映画)

2026年7月4日

「急に具合が悪くなる」見てきました。これ、映画のタイトルなんですが、上映館や時刻を調べようと検索すると救急連絡先を教えてくれちゃう。全国的に同じことが起きてるみたいです(笑)。「映画」を検索ワードに入れないとね。わが町では、早朝と夕方遅くにしか上映してないので、夕方見に行きました。「マイケル」なら昼の良い時間帯にいくらでもやってるのに。人が入らないとみたんでしょうね。

3時間16分という長尺の映画です。トイレを済ませてぎりぎりに入館して、終わったらまたすぐトイレ、という状態でしたが、見ている間は長いとは感じなかった。「国宝」と同じですな。

舞台はフランスと日本。言語もフランス語と日本語がごっちゃに飛び交います。早稲田の大学院で文化人類学を学んだ、介護施設のディレクターをやっているフランス人女性と、ソルボンヌ大で哲学を学んだ、演劇演出家日本人女性の出会いとその後の数週間の物語です。日本人は末期がんで、いつ急に具合が悪くなるかわからない状態。でも、今は元気で芝居を演出している。演出を受けるのは、一人芝居を演じる長塚京三さん。彼、パリ大学にいた人なので、フランス語はお上手です。ってか、お上手に聞こえる。本当にお上手かどうかは私には判別不可能だけど(笑)。その役者の孫で重度自閉症の少年も大事な役柄です。彼も素晴らしかった。

日本もフランスもおそらく共通の、老後をどう生きるか、認知症をどう生きるか、命を全うするとはどういうことか、という大きな問題が中心テーマで、そこには、人の誇りとか、生きる目的とか、楽しいこと、体をいたわること、理解し合うことなど、さまざまな問題が盛り込まれています。

分かりやすく優しい映画なのですが、途中、文化人類学者が「問題を整理しましょう」といってホワイトボードを使って「なぜ少子高齢化は資本主義の必然なのか」を説明します。それだって、すごくわかりやすく、興味深い内容なのですが、ここで引っかかっちゃう人もいるかもなー、とは思いました。頭でっかちの人間が集まると、こういう会話もアルアルなんですが、あんまり「普通」ではないだろうと。でも、私はそこも含めて楽しい‥‥と言っていいのかな、納得のいく、良い映画だったと思っています。

認知症も、思わぬ病も、子どもや孫の障碍も、死後の散骨も、すべて、身近な、いつ自分に降りかかるかわからない問題です。これは私たちの問題でもある、という実感を持って見ることができる映画でした。

フランス人女性マリー・ルーを演じた女優さんは体がふくよかで笑顔が素敵。日本人女性はものすごくほっそりして背が高く、モデル体型で(というかモデルさんなんですね)、なんで日本人の女優はみんなこんなに痩せてるんだろう、と思っちゃいました。まあ、彼女は病人の役なので、ちょうどよかったんですけどね。最近は野呂佳代さんとか松下由樹さんとか、ふっくらした女優さんも良い役を演じられていて、それってすごくいいことです。女優さんはやせてるのが当たり前って、どうかと思う。不健康です。自然な体形の女優さんがリスペクトされるのが健康的です。

私の好きなフランスドラマ「アストリッドとラファエル」の女優さんも体つきがしっかりしていて安心して見ていられます。そのドラマに警視正役として出ていたジャン=ルイ・ギャルソンという浅黒い肌の色の俳優さんが、この映画の健康保健庁のお偉いさんとして出演されていて「おっ」と思いました。いい役者さんなんですよ。フランス人だからと言って白人だけじゃなくて、色々な肌の色、色々な民族出身の人が入り混じって登場していて、そこもまたリアルでよかったのです。

歳をとること。いつか死ぬこと。きっと、色々なことができなくなったり、わからなくなっていくだろうということ。そういうことを、もうちゃんと考えなければいけない年齢なんだと思います。そのためにも、良い映画でした。本当に、良い映画でした。