映画「のぼうの城」、やっと公開されたので見てきました。
原作を読んだのは新幹線の車中。東京新大阪間で一気に読み切っちゃう面白さでした。だから、映画もものすごく楽しみにしていたのです。
ここから先は、ネタバレがあるので、これから見る予定がある人は、読まないでね。
なるほど、野村萬斎は大正解。船上のシーンがすばらしい。映画全体の長さから見ると、相当の尺をこのシーンに取っているのだけど、全然、長さを感じない。戦さのさなかだというのに、船の上で踊り出すだけで、衆目を一気に集めてしまうという設定がそのままに作り出されている。映画を見ている私も、本当に、完全に彼に引きつけられ、笑い、歌い、踊りだしたくなる。
野村萬斎の所作の美しいこと。足さばき、手さばきの凄いこと。声の深さと張りと響きの力強いこと。これだけの時間を一人で完全に支配しきって魅了する。それまでの情けない姿も、実に情けなく演じているし、踊りも、その情けなさと矛盾することなく、見事につながっている。うーむ、野村萬斎じゃなきゃできないなあ。
それに引き換え、榮倉奈々ちゃんは、少々残念。彼女がもうちょっと、のぼう様に心から惚れ切っているという演技ができていたら、もっとすごい映画になっただろうに。ただの駄々をこねている元気な女の子という感じになってしまっていた。この役を、誰がやったらよかったか、と見終えてから夫と言い合っていたのだけど、なかなか見つからない。
若いころの天海祐希?でも、背が高すぎる。若いころの黒木瞳?色気が得すぎるかも。貫地谷しほり?ちょっと足が太すぎる(!!!)。多部未華子?やや近い気はするけど、子供っぽ過ぎないか。綾瀬はるか・・・かなあ。他に誰がいる?良い意見募集中。って、今更撮り直しもできないけどね。ギャラの関係もあっただろうし。
ぐっさんが武将の役をやっていて、お上手でした。というか、上手なんだよね、何をやっても、というしかないような演技。それは、褒め言葉とは限らないのかも知れない・・・・。
結局、野村萬斎が素晴らしすぎて、それを見に行ったみたいな映画。でも、良かったんです、それで。野村萬斎で作ってくれてありがとう、と言いたいくらい、素晴らしかった。
2012/11/23