暗がりで本を読む

暗がりで本を読む

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どうやって読む本を選んでいるの?と、時々聞かれる。私の場合は朝日新聞の書評と「本の雑誌」が強い味方だ。「本の雑誌」は椎名誠が創刊した本好きのための雑誌。いまは編集の代も変わったが、本読みにとって大事な情報を教える役目をずーっと果たしてくれている。結婚以来、もう30年以上定期購読している。たぶん、我が家の読書生活はこの雑誌にものすごく支えられている。

「暗がりで本を読む」は「本の雑誌」の書評欄に連載していた記事と書き下ろしが集められた本である。作者は書店員で、今やすっかりメジャーになった「本屋大賞」の立ち上げに関わった人である。本を売る立場の矜持が感じられる、本に対する愛の溢れた本である。

読んでいて既視感があるのは、雑誌連載時に一度読んだ記事ばかりだからで、実際、私は彼女に勧められて何冊もの本を読んだのだなあと改めて気がつく。本を勧めるのは、実はけっこう大変な仕事である。これから読む人に対して、本の最も要になる部分は隠しておく必要があるが、だからといって、どのように面白かったのか、その片鱗はしっかりと見せねばならない。手にとってみたい、ページを開きたい、と思わせながら、その中に何があるかはできる限り隠し通さねばならない。作者は、その塩梅が絶妙な人である。

「僕は、そして僕たちはどう生きるか」、「誰のために法は生まれた」、「ある男」、「ノースライト」、「トリック」、「井上陽水訳詞集」、「星の子」、「おらおらでひとりいぐも」などはすべて彼女から紹介されて読んだ本である。読んでよかった、と思える本ばかりだ。そして、この本を読むことで、新たに何冊もまた、図書館に予約してしまった。やっと図書館も再開したからね。これからが楽しみだ。よし、読むぞ。