青森駅から新青森駅に一駅乗って、そこから新幹線はやぶさでまたまた盛岡へ戻る。盛岡で駅弁を買って待合室で食べたのち、新幹線こまちで田沢湖駅へ。乳頭温泉まではバスで45分。途中、昔行ったスキー場や、いくつもの温泉、美しい田沢湖などを経て、到着。宿は「大釜温泉」、バス停のすぐそば。元小学校だった建物を改造したという。
素朴な宿。確かに学校みたいな廊下を通って部屋へ。歩いて三分くらいの所の蟹温泉なら立ち寄り入浴ができると聞かされたが、なんだか疲れちゃったので割愛。大釜温泉の温泉にさっそく入る。
まだ結婚したての頃、田沢湖スキー場に夫の会社の仲間大勢で行ったことがある。ものすごく寒かったのを覚えている。その時、乳頭温泉まで行こうということになったのだが、車に乗れる人数が限られていたのか、私たちは連れて行ってもらえなかった。以来、いつか乳頭温泉に行かねば、と思っていたその宿題が、やっと片付く。
どろりとした茶色い温泉。先客が露天風呂にいて、きゃあきゃあ騒いでいる。若い子かと思ったら結構なおばさんなんだけど、底に溜まった泥をすくって顔に塗っては「きれいになった?」などと笑い合っている。隣の男湯に入ってた夫に言わせると「猿でも紛れ込んだのかと思った」そうだ。内湯に避難して、彼女たちが去ってから露天風呂へ。美しい森が広がる気持ちのいい露天風呂。お湯も濃くていかにも効きそうな感じ。
夕食は山の宿らしく、小さなコンロにヤマメの干物やシイタケがあって、炙りたてをいただく。素朴で美味しい。なぜか私のお膳だけ、空っぽの器が置いてあって、尋ねたら、フキの味噌和えを入れ忘れたらしい。「私が犯人です。」とおかみらしき人が来て、謝りながら料理を取り換えてくれた。「ちなみに、しいたけは塩で食べたほうが美味しいです。秋田は何でも塩。なので、脳卒中率が日本一高いんですけどね!」なんて言う。温泉は鉄分が強いのでとてもよく効く、なんてことも説明して、そのテキパキした感じがまるで学校の先生みたい。ここの学校のもと先生なのかしらん。言われた通り塩で食べたしいたけは非常に美味であった。
お隣の食卓に、我が家の近隣の県から来たというご夫婦。彼らも大人の休日倶楽部利用だそうだ。駅にも大勢の大人の休日倶楽部の人たちがいて、案外、このやり方で地方が潤ってるのかも、と思った。
翌朝は朝食前にひとっ風呂。食後は宿の近辺を散歩。三分、上に歩いていったら、昨日紹介された蟹温泉の宿があった。お尋ねしたら、今日は立ち寄り湯はお休みの日なんだそうだ。残念。田沢湖駅に向かうバスが停車していた。ここが出発点らしい。次に宿の下のほうに歩いていったら、きれいな川が流れていた。山奥の秘湯だわ。
さて、他に見るところもないので、蟹温泉まで歩いていってバスに乗る。田沢湖で途中下車して湖を見る?なんて相談もしたが、もういいかということになり、駅まで乗る。すぐ乗れる新幹線はもう満席なので、次の指定を取って、駅前のカフェでひとやすみ。それからこまちに乗って仙台まで。仙台でお寿司を食べて、また新幹線に乗って、我が家へ帰ったのだった。温泉三昧の旅であった。