19 米澤穂信 集英社
「本と鍵の季節」以来の米澤穂信。この作品も前作と同じで図書室で当番をしていて起きる事件を追う内容である。
ミステリだから、詳しく書くとネタバレになっちゃうしなー。まあ、人はとりあえずリアルで死なないので私の許容範囲ではあるのだけれど、暗い話ではある。嘘に満ちているし。
モデルになれるくらいきれいな女の子が、きれいであることがそれほど幸せではない、というのは何となくわかる。いや、当事者になったことはないけどね。それから、弱い立場の者が切り札を欲しいと願う、というのもわからんでもない。だけど、切り札を持った途端、それはもう弱い立場のものではなくなるのだよね。
なんて、判じ物のように書いたけれど。読後感はあんまりよくない本ではあった。面白くないかと問われれば、面白くはあったんだけどさ。人の暗い部分をあまりに全面に押し出されると、やっぱり滅入るものではあるな。