114 ルシア・ベルリン 講談社 (岸本佐知子 訳)
年末大掃除に向けて参考にするつもりかと夫に聞かれた「掃除婦のための手引書」がルシア・ベルリンとの出会い。味わい深い短編小説が素晴らしくて、また読みたいと思っていたら「すべての月、すべての年」が出て、大事に大事に読んだ。寡作な人だったというので、もう読めないかと思っていたら、新たな一冊。これもまた深い深い短編集である。
なんといえばいいのだろう。最初の行で、いきなり物語に引き込まれる。そこに浸っていたら、ある時、次の行で、もう全然違う世界が広がっている。その合間だけで長編小説が書けそうなほど。深い孤独、強い意志、どうしようもない状況、流されること、あらがうこと。人が生きるということ。
これ、本当は手元に置いておいた方がいい本だ。図書館で借りてしまったけれど。もう、これで終わりなのか。彼女の作品は、もう新しく読めないのか。しみじみ読み返したくなる。そんな本だった。
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