53 宮部みゆき PHP
きたきた捕物帖第三弾。岡っ引き修行中、兼文庫屋の北一くんが今回も頑張る。まだ十七歳だったのか、北一くん。亡くなった親分の後継ぎとして文庫屋もやりながら、岡っ引きとしてもじりじりと実力をつけていく。掏摸にひと蹴りされただけで大けがをするが、風呂屋の薪番の喜多次に鍛えてもらって、だんだん体も鍛えられていく。
火事をきっかけに「気の毒ばたらき」の真相を追ったり、古い事件を諦めずに明らかにしていったり。登場する人たちひとりひとりが温かく描かれていて心温まる。宮部みゆきは時代物だとこんなにも優しい筆致なのに、なんでゲンダイ物は厳しくなっちゃうのかなあ、といつも思うね。
良いミステリだった。続きも期待します。
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