発酵ツーリズムほくりく

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84 小倉ヒラク fuプロダクション

発酵デザイナーの小倉ヒラク氏による、発酵にまつわる北陸の旅の本。作者は下北沢にある「発酵デパートメント」のオーナー。発酵食品好きの我が家は通販で結構お世話になっています。

「津々浦々」ってどういう意味?「津」はよその土地から来る大きな船が泊まる港のことで、「浦」は大きな港で二分けされた小さな船が泊まる港のこと。地元に生活物資が送られるのは「浦」なんだよね。なんて話からこの本は始まる。北陸は、海で北海道や関西と結ばれた物資豊かな土地。おいしいものもたくさん集まる。食べ物をおいしく運ぶのに、発酵の力はとても大きい。北陸のおいしい発酵食品を求めて、いろいろな場所に行く旅の話は、おいしそうで楽しそうで、ああ、行ってみたい!と思わずにはいられない。

本当は猛毒なのに二年かけて解毒されたふぐの子。イカ墨を使った「イカの黒作り」は、もしかしたらポルトガルのあるイベリア半島のイカ墨食文化から伝来したものかも。興味深い。バルセロナで食べたイカ墨のパエリアのおいしさを思い出す。イワシ、サバの内臓を丸ごと漬ける「いしる」、イカの内臓を一年以上漬ける「いしり」。ぶりの内臓に大豆を合わせた「べと」なんて知らなかった!食べてみたい。小鯛のささ漬は、亡くなった義母の大好物だったっけ。蕪にブリの身をはさむ「かぶらずし」、ブリの代わりに身欠きにしんを使う「大根ずし」。魚介を米麴に漬け込む「へしこ」は、これさえあれば日本酒が進むのをよく知ってる。そのほかにも、お酒やワイン、酢なんかも紹介されていて、ああ、こんなお店をめぐりながら北陸を旅したーい!!と思うが、公共交通機関じゃ行けないところばかり。そして、私たちには免許がない。ああ・・・。

路線バスや地域タクシーを駆使して、いつか行ってやる。まだ体が動くうちに。待ってろよ、北陸の発酵食品たち。食べに、飲みに行くからねー。