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「真っ白でいるよりも」 谷川俊太郎 集英社
1995年に出た詩集。
谷川さんは、やっぱりいいなー、と思う。
「海の比喩」という死を読んで、私はこの間のETV特集で見た、福島の漁師の言葉を思い出してしまった。
「除染をする。
放射能を洗い流す。
その洗い流した水は、どこさ流れていくの。
森や山に、雨が振って、放射能を洗い流す。
その水は、どこさ流れていくの。
みんな海だ。
最後に、海さ流れ着くんだ。」
この詩とは直接関係ないのだけどね。
でも、海は、そういう場所だ。
最後に、すべてが流れ着く場所なのだ。
人が海を見るのではない
海が人を見ているのだ
太鼓から変わらぬ煌く眼差しで人が海を聞くのではない
海が人を聞いているのだ
水底に潜む無数の貝殻の耳で
(引用は『海の比喩』「真っ白でいるよりも」所収 谷川俊太郎より)
谷川さんの詩を読むと、そこからいろんな世界が溢れてくる。
彼が意図したかしないかにかかわらず、いろんな気持ちが溢れてくる。
2011/12/8