51 谷川俊太郎 Blue Sheep
「ザガズー」で触れた、谷川俊太郎の絵本を集めた本。「谷川俊太郎 絵本★百貨展」(2023年4月12日−7月9日 PLAY! MUSEUM)の公式図録。1956年に当時20代の谷川さんが自費出版した『絵本』から、2023年の最新作『ここはおうち』まで、全172作を豊富なビジュアルとともに紹介している。厚さ3,5cm。なかなか読み応えのある本だった。
子どもたちが中学生になるくらいまで小学校での読み聞かせ活動に参加していたし、子どもたちが幼稚園からもらってくる「こどものとも」絵本でもリアルタイムで谷川さんの新刊絵本を読んできた。だから知っている絵本が多かったけど、それでも初めましての絵本もたくさんあって、谷川さんの絵本の業績の大きさに驚く。なんて生き生きと絵本を作ってきた人なんだろうと改めて思う。
「とおるがとおる」や「けんはへっちゃら」みたいなちょっと頭でっかちな子どもの話も楽しいし、まだ言葉を言葉と認識しているかどうかもわからないような赤ちゃん絵本も実に良い。赤ちゃん絵本に関しては、食べ物と同じように考えたほうがいいと谷川さん自身が語っているけれど、本当にそう。子どもは絵本を読んでもらうだけじゃなくて、触ったり、かじったり、折り曲げたり、クレヨンを塗りたくったりして楽しむ。「教育なんていうスケベごころは捨てたほうがいい」と谷川さんも語ってるように、赤ちゃんというのは生きていくことが面白くてならない存在だから、大人も丸ごと生きることそのものを楽しむ感覚で一緒に読んだほうがいい。
奥さんでもあった佐野洋子さんとの絵本に関する対談がとても面白い。野性味に溢れて直感的な佐野洋子さんと、教養溢れる家庭で育った屋内派の谷川さんとのやりとりは、終始佐野さんの強さに圧倒されつつ、でも谷川さんはゆったりと自分の弱さ足りなさを認めて笑ってる感じ。佐野さんってすごいなあと谷川さんの本なのにつくづく思ってしまった。
子どもたちが独立して、東京をはなれて縁もゆかりもない土地で生活を初めてもう六年。ここでも読み聞かせ活動に関わろうと最初は思っていたのだけれど、折悪しくコロナ禍に突入し、その後は足が動く内に見たいものは見ておこうと旅三昧の日々になった。でも、いつかまた絵本の世界には戻ってみたい気持ちもある。そんな日、来るのかなあ。