21 アベツカサ 小学館
前回、五巻を記録し忘れたと書いているが、また同じことをやっちまった。今回読んだのは九巻。ということは、どこかで七、八巻を読んだのを記録し忘れてるってことだ。ま、いっか。
勇者、戦士、僧侶、魔法使いが十年の年月をかけ、魔王を倒して凱旋し、そして勇者は押し年老いて死んだ。そののちの物語がこの漫画。非常に長生きのエルフ族である魔法使いのフリーレンが、勇者の死をきっかけに、人を知る旅に出ている。この巻では、すべてを黄金に変えられてしまった魔境を元に戻せるかどうか、そこを支配している魔法使いと対峙する。魔族と人類の決して分かり合えない違いを感じながら、そこの溝を埋める方策を探る。
この漫画のいいところは、なんと言っても闘いの場面がグロテスクじゃないところだね、と怖がりの私は思う。闘いは、ある。でも、どこか静的であっさりとしている。大事なのは闘いの場面ではなく、そこにある感情や精神の方だ。たぶん、作者の言いたいところがそこにあるからだろう。
人を知る、分かり合う。そういうことを手探りで探している。それは今を生きる私たちの普通の生活とも呼応する。別世界のファンタジーでありながら、私はこの漫画に日常を感じて、それが面白い。