訪問者

訪問者

142 萩尾望都 小学館

「バルバラ異界」に引き続き、萩尾望都を読む活動継続中。そして、震える。

「トーマの心臓」オスカーのスピンオフ「訪問者」、誰の心の中にもある白と黒、戦争の狂気を描いた「エッグ・スタンド」、天使に進化したい少女と生物教師の物語「天使の擬態」の四編。どれも深く切なく恐ろしく淋しく悲しく温かい。萩尾望都ってすごい。

「エッグ・スタンド」は、戦争によって生み出された狂気の少年の物語。それがもう、恐ろしくて恐ろしくて。そしてあまりにも戦争というものの本質を暴いているとしか思えなくて、読み終えて愕然とする。こんな物語を美しくかわいらしい絵柄で抉り出す萩尾望都って何なんだー!!と叫びたくなる。

マンガは芸術であり、文学であり、至高の存在である。打ちのめされる。