93 吉田秋生 小学館
知らないうちに二巻が出ていた。最近、コミック売り場をうろついたりしてなかったからか。読み始めたら一巻のことをきれいさっぱり忘れてしまっていたので、一巻から読み直した。老人力が付いたなあ。極めて新鮮に読めてしまった。
「海街diary」のすずちゃんの異母兄弟が織りなす小さな温泉町の人間模様。みんなそれぞれにがんばって生きているけれど、ずるかったり、何かから逃げている人もいる。子どもたちはみんな大人の事情に翻弄されながら、それでも一生懸命前を向こうとする。それがもう、切なくていとおしくて、どうか幸せであってくれと祈るような気持になる。これも老人力のなせる業か。
登場人物ひとりひとりが生きている。それぞれの歴史を感じられるような物語だ。吉田秋生のマンガは、いつだってすごい。