銀の三角

銀の三角

102 萩尾望都 白泉社文庫

政治がひどすぎてニュースを見ると気が滅入る。歴史的な本を読めば、今現在の社会と同じ流れが読み取れて、さらに絶望に流れそうになる。何とか浮上したいと手に取ったのがこの美しいマンガ。萩尾望都の漫画は美しく深く難解だ。その世界にうっとりと入り込もうとするが、幾層にも入り組んだ世界と時空の構造がごちゃごちゃになって、理解が追い付かなくなる。それでも物語は静かに進んでいき、読み切ってしまった。が、あと何回か読み返さないと実は何にも理解できていないんじゃないか。深い。深すぎるよ、銀の三角。

六年に一度朝を迎える惑星、銀の三角。未来を予想するうつくしい音楽を奏でる人々。その特殊能力ゆえに星系の戦争に巻き込まれ、滅亡したはずだった。だが、三万年後、銀の三角の人間が再び姿を現す。時系列は過去と未来を行ったり来たりするし、そこに同じ人物が様々な形で登場する。高度なSFだ。世界は美しく、細かく、丁寧だ。何度読んでも浸ってしまいそう。でも、完全にわかる日なんて来るのだろうか。

萩尾望都は、すばらしい。