隠居すごろく

隠居すごろく

103 西條奈加 角川文庫

夫からのおすすめ。退職して家でのんびりするようになった夫。「糸屋の旦那が、還暦を境に隠居暮らしを始めたんだけど、孫が犬やら猫やら子どもやらを連れてくるようになって、大変なんだよ。」という説明。あなたも還暦を機に隠居暮らしを始めたからかしらね、楽しそうにやってるけど、なんて思いながら読んだら、あらまあ、面白いじゃないの。しかもこの作者、前にも読んでるわ。「心淋し川」。直木賞作家じゃないの。

楽しみにしていた隠居暮らしは結構退屈、と思ったのもつかの間、心優しい孫の千代太が訪ねてくるようになったのはいいけれど、いろんな生き物が出入りするようになって、そこから主人公の第二の人生が始まる。千代太は、今でいう不登校児に近い存在かも。で、近所の放置子やアルコール依存症のシングルマザーが絡んでくる。時代物だけど、視点を変えれば今と変わらない現実。

大変なこともいろいろあるけれど、まじめに誠実に一生懸命生きていれば、いいことあるさー、と思えるような物語。ラストがまたいい。考えてみれば、江戸時代の話だもの、登場人物、今じゃ全員死んじゃってるはずだけど。生き生きとした人生を見せてもらったなー、と思う。この作家、信用できる、と思った。