陽射しは強いけれど、もうさすがに秋でした。薄が透き通るように美しく風に揺れていました。
飛鳥へ来たのは三度目です。最初は、中3の時に、修学旅行で。奈良と飛鳥と京都を回ったのですが、一番好きになったのが飛鳥でした。寺社仏閣ではなく、緑溢れる田んぼと風と空気、それに彼岸花が印象に残っています。
二度目に来たのは、大学生の時。ゼミの研修旅行です。当時の飛鳥は、京都や奈良の華やかさに比べるとひっそりとして忘れ去られた田舎なのような風情がありました。誰も顧みないけれど、確かにここには歴史が埋まっているので、守らなくてはいけない。地元の人達がそう考えて、静かに史跡を守り続けているような感触がありました。卒業したら、ここの町役場にでも勤めて住んじゃおうかしら、と、一瞬、そんなアイディアが浮かんだのを覚えています。そうはしなかったんですけどね。
30年ほどぶりに来てみると、ずいぶん整備がされていて、あの頃よりも脚光を浴びて大事にされたんだな、と思います。道も道標もきれいになって、史跡が大事に保護されているのもわかります。
橘寺を出発して、石舞台を目指します。石舞台に近づくと、大きな駐車場があって、バスが止まっていて、そして、たくさんの人が集まっているのがわかります。広場に屋台が並び、何かイベントが行われています。なんだ、あれは?
「忍たま乱太郎だ!」と夫が言います。あら、ホントだ。乱太郎のショーらしい。子どもたちを相手に、MCのお姉さんが声を張り上げています。なんで石舞台で、らんたろう?
石舞台は、その広場から更に少し奥へ行ったところでした。たまたま、イベント会場として広い場所が必要だっただけ。石舞台と乱太郎には特に因縁はないようです。しかし、石舞台って、こんなに囲われて、入場料まで取ってたっけ?私の記憶では、田んぼの途を歩いて行くと、いきなり石舞台がぼん、とあっただけのような気がするのだけど。夫も、そんな覚えがある、と。しかし、入り口があって、そこで料金を払って、中へ入ります。階段を登って、降りて、おお、ついに石舞台です。

大きいなあ。階段を降りて、下に潜ります。隙間から、外が見えます。ぐらぐらっと落ちてきたらどうしよう。怖がりの私はすぐにそんなことを考えます。
石舞台から、次は板蓋宮跡へ。大化の改新の舞台になったところです。蘇我入鹿が中大兄皇子時頃されちゃったところね。ここは宮殿跡なので、なんにもない場所なんですが、今日は「飛鳥光の回廊」が行われるとかで、その準備でたくさんのライトが並べられていました。でも、昼間見ると、なんとなくお間抜けなのは、仕方ないわね・・・。
次に行ったのは、酒船石。医師が複雑な形にくり抜かれていて、確かに何かやったらしい。何をやったかはわかりませんが、お酒作ったとか、薬作ったとか。「三つ目がとおる」に出てきたよ、これが、と夫が言っていました。
ちょっと疲れて座り込んで、これからどこに回ろうか、甘樫丘は登るのがきついかな、なんて相談していたら、観光ボランティアらしきおじさんが
「150メートルだよ。」
と声をかけてくれました。
「自転車は下に止められるし、登り口がもう60メートルくらいだから、ほんの少しだよ。上まで登れば、今日の天気なら、奈良まで見渡せる。生駒の山も見えるよ。」
と。じゃあ、頑張って行ってみようか、と少し元気が出た我々でした。
2011/9/28
