「世界で一番美しい人体図鑑」

「世界で一番美しい人体図鑑」

2021年3月24日

1 三村明子 エクスナレッジ

 本ブログを一体どんな本から始めようかと迷ったが、これにした。立体的なグラフィックで人体構造を眺めることができる、美しい図鑑である。透き通ったページをめくると骨格や筋肉を外したその中身をみることができる。うっかりするとグロテスクになりそうだが、あくまでも美しい。

 とはいえ、私は脳のあたりの構造を見るのが極めて苦手なので、そのあたりだけ、ちょっと薄目になってしまう。これは、「ハンニバル」でレクターの脳に関わるシーンを読んで以来のトラウマである。医者になりたいと中学時代は願ったこともあったが、無理だったろうなあ、とつくづく思う。

 それにしても、人の体は美しい。無駄な部分が一つもない。すべてが何らかの目的のために存在し、互いに助け合い、支え合っている。私の坐骨神経痛は、このあたりが傷んでいるのだなあ、とか、母の右手のしびれはこのあたりからダメになっているのだな、などと感傷的な気持ちにもなる。

 一つ一つの部品をもっと大事に生きていかねば、なんてしみじみ思える、美しい図鑑であった。