うさぎのぱんとぶたのぱん

うさぎのぱんとぶたのぱん

2021年7月24日

「うさぎのぱんとぶたのぱん」小沢正

一年生の読み聞かせ用です。一年生は、楽しい、楽しい。なにを読んでも、反応が大きくて、笑うし、驚くし、心配するし、喜ぶし。一年生の教室に慣れてしまうと、まるで「笑ったら損」みたいな顔の五、六年生の教室に行くのが億劫になります。

というわけで、久々の一年生。やっぱり楽しかったです。

二つ物語が入っています。
一つ目で、こぶたのころすけが、おやつのぱんを買いに行きます。いつもぶたぱんしか買っていなかったのに、食べたくなって、うさぎぱんを買って、その場でぱくぱくっと食べたら、あらあら、うさぎになっちゃいました。うさぎの姿で家に帰ると、お母さんは、遊びに来てくれたお友達のうさちゃんだと思って、ころちゃんが帰るまで、お手伝いしてね、と長いお耳に毛糸を巻いて、毛糸巻きを手伝ってもらいます。そのお駄賃を貰って、ころすけはもう一度、パン屋さんに行って、ぶたぱんを買い、こぶたにもどりましたとさ。

二つ目は、お友達が猟師に捕まってうさぎシチューにされてしまいそう、と聞いたうさぎのはなぴくが、にんげんぱんをつかって人間の子に化けて、助けに行く話です。猟師の家で、野菜を切る手伝いをするのですが、うさぎだとばれそうになるたび、野菜をころっと落としてしまって、「もったいないたら、もったいない」と猟師がそれを拾って食べる間に怪しんだことを忘れちゃう。で、最後に、助け出そうとするところを見つかって、びっくりした拍子にうさぎぱんを落とすと、猟師がそれをぱくぱくっと食べて、うさぎになって、びっくりして行っちゃった。
せっかくうさぎになれたのだから、はなぴくたちと仲良く遊べばいいのにね、もったいないたら、もったいない。

幼年童話お約束の楽しい擬音や繰り返し、ちょっとスリリングだけど、決して怖くはならない、王道を行く物語です。安心して読めたなあ。受けもたいへんよろしくて、大笑いあり、心配声あり、「やったあ」ありの、実に充実した10分間でありました。

2007/2/23