うさこちゃんたら・・・(うさこちゃんシリーズ)

うさこちゃんたら・・・(うさこちゃんシリーズ)

2021年7月24日

うさこちゃんに初めて会った日のことを、私はなんとなく覚えています。あれは確か、デパートの本売り場でした。小さかった私は、ちょうどいい大きさの本を見つけて、手に取ったのでした。私にも描けるみたいな(と当時の私は思ったんですね)簡単な絵なのに、なんだかとってもいい、と思ったのを覚えています。うさこちゃんの造形って、単純なようで、とてもよく考えて作られているそうです。うさこちゃんの輪郭上に、眼と鼻(口?)の位置をすこしずつ変えて乗せてみるとわかります。ここでピタリ、と決まる位置にパーツがあるのです。

私はうさこちゃんが好きだったので、おちびが幼稚園に入るとき、うさこちゃんの絵のついた水筒を買ってやりました。ところが、それはおちびが気に入らなかったのです。「こどもっぽい。」って。どこから見ても、正真正銘の子どもが、そんなこというんですよ。たくさんあったうさこちゃんの絵本も、もう読まないから、と、引越しのとき、ご近所の小さなお子さんに譲ってきてしまいました。

ところが、中学生になったおちびは、今じゃすっかりうさこちゃんのファンです。なんてかわいいの!と、うさこちゃんグッズにはまっています。部活の先輩の卒業記念カードにうさこちゃんの絵を描きたいので、うさこちゃん絵本を借りてきて、というのです。うさこちゃんの絵本は、私が知っていた頃よりもずいぶん増えていて、まだ読んだことのないものもたくさんありました。

122「うさこちゃんはじょおうさま」ディック・ブルーナ 福音館

うさこちゃんが女王様になる夢をみる本です。オランダの絵本だから、女王様に親しみがあるんでしょうね。ところで、うちのおちびは「竹島の女王」です。領土問題の報道を読んでいて、おちびが、「そんなに揉めるんだったら、もう、どっちの国のものにもしないで、竹島だけで独立しちゃえばいいのよ!」と言い放ったのです。そして、自分が初代女王になって、竹島を治める、と言いやがった(!)のです。以来、彼女は我が家じゃ「竹島の女王」と呼ばれています。

123 「うさこちゃんのおじいちゃんとおばあちゃん」ディック・ブルーナ 福音館


おじいちゃんはすくーたーをつくってくれて、おばあちゃんは編み物をおしえてくれます。うさこちゃんは、クッキーを食べて、おうちに帰ります。それだけなんですが、じじばばっていいものだ、と思います。

124「うさこちゃんのおじいちゃんへのおくりもの」ディック・ブルーナ 福音館


おばあちゃんに習った編み物が役に立ちます。うさこちゃんは、おじいちゃんにマフラーを編んであげます。誰かに何かをしてあげて、喜ばれるのって、小さな子どもには、とても貴重な、嬉しい、大事な体験です。

125「うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん」ディック・ブルーナ 福音館


ところが、そんな大好きなおばあちゃんは亡くなってしまいます。うさこちゃんは、お墓の前でおばあちゃんに呼びかけると、ちゃんと聞いてくれているのが分かるんだそうです。うーむ。おちびが年中の時に、義母が亡くなりました。おちびは、人が死ぬということを、どこまで理解していたかどうかはわかりません。その時、こんな絵本があったら、なにを感じたのでしょうか。小さな子どもに、絵本で死を教えるのって・・・難しいですね。

126「うさこちゃんときゃらめる」ディック・ブルーナ 福音館


うさこちゃんたら・・・!おばあちゃんがなくなって、ぐれてしまったのでしょうか。ちょっとびっくりです。これは、本当は「うさこちゃんとまんびき」の絵本です。欲しかったんで、キャラメルをポケットに入れて持ってきてしまうのです。そ、そこまで描くのか・・・。私はちょっと懐疑的です。小さな子の絵本に、こんな題材も必要なんでしょうか。そりゃねえ、ダメよ、こんなコトしちゃ、の教訓絵本にもなるでしょうけれど。私の好きなうさこちゃんは、もっと、のんびりと毎日を楽しんでいてほしいような気がします。ブルーナさん、齢をおとりになったか。

知らないうちに、うさこちゃん、ずいぶん現代的なうさぎになっていたんですねえ。

2012/10/16