すなわち、便所は宇宙である

すなわち、便所は宇宙である

2021年7月24日

「すなわち、便所は宇宙である」 千原ジュニア 扶桑社 20

私のジュニアファン歴も、そろそろ五年を越えようとしている。
ごく初期の「すべらない話」を見て、場を仕切っているちょっと顔に歪んだ兄ちゃんだと思ったのが最初。新宿ルミネを見に行ったら、たまたま出ていて、ちょろっと出てくるだけで、なんだかすごいオーラが・・と思ったのを覚えている。(よく考えたら、あの時に、今や人気絶頂のピースもいて、「僕らのことを知ってる人?」と聞いたら、ぱらぱらとしか手が上がっていなかったっけ。)

ファンなので、一応彼の出る番組はチェックしている。残念ながら、関西では見られない番組もあるので、全てというわけには行かないが。

彼の場合は、フリートークにその持ち味が最も出るのだが、たくさんの番組にでていると、どんなに毎日面白い体験をしていたところで、ネタは尽きてくる。だから、話題がかぶることがよくある。そして、この本に書いてあることも、たいていは、どこかでちょいとしゃべっていたことだったりもする。だとしても、文章で読むと、うーん、鋭い、とか、細かいぞ!とか、改めて思う。

「IPPONグランプリ」という大喜利の番組があって、これはおもしろいよ。たまにしかやらないけど、ぜひ、見て欲しいんだけれど。ジュニアが優勝するだろうと思ってたのに、優勝しなかった。そうしたら、その話がちゃんと載っていた。なるほど、そうだったのか・・・。それはともかく。

”内田裕也が「君、それロックだね~」。さて、何をした?”
というお題に、ジュニアが思いついた解。
「半ドアで遠出」。
これは、なかなかですよ。大喜利ってやってみると分かるけど、むずかしいんだから!!

ジュニアは、子どもの名づけも大喜利だという。子どもがお題。
赤塚不二夫の葬儀のタモリの弔辞「私もあなたの数多くの作品のひとつです」も、一種の大喜利。
たこ八郎が、海で溺死したとき、タモリは、流れる涙を隠そうともしないで、「何も悲しいことなんてないですよ。たこが海に還っただけじゃないですか。」と言ったという。これも、ものすごくかっこいい、すごい、大喜利、とこの本に書いてある。
これを聞いて、大喜利だ、と捉えるジュニアもすごい、と私は思う。不謹慎と思う人もいるかも知れないけれど、何でもそうやって、大喜利にしてしまうのは芸人の凄みだ。

ジュニアのコント「プロペラを止めた、ボクの声を聞くために」は、今でも見返すと笑いながら、泣いてしまう名作だ。それが実は
「ヘリコプターに育てられた子ども、普通の子どもとの違いは?」
というお題の大喜利から発展して生まれた、ということを、この本で初めて知った。

おお、人生は、全て、実は大喜利なのだ。

2011/4/23