ずぶ六の四季

ずぶ六の四季

24 大竹聡 本の雑誌社

酒飲みが、酒の飲み方について書いた本。少し飲むのは得意じゃなくて、飲むならたくさん、と言ってはばからない作者。これはもうアルコール依存症だな、としか思えない飲み方である。

そりゃあ私だって酒のうまさは知っている。酒と共に食べる料理のうまさも、よーく知っている。だけどねえ。ここまで飲むのはどうかと思うぜ。痛風でも、飲む。明らかに健康を害しても、まだ飲む。子どもが小さかった頃、家族で公園に出かけると、子供と妻は遊んでいるが、自分はベンチでちびちび飲んで、そのうち寝ていた、なんて書いている。あのね、その間、妻がどんな気持ちでいたか。小さな子供を遊ばせるのって、どんなに大変か知ってる?妻だってたまには酒も飲みたかったかもしれないよね。なんて書く私は嫌なおばちゃんなんだろうか。

中島らもの話も出てきたけれど、彼の死は、緩慢な自殺だったと私は思っている。自分を大事だと思ったら、あんな破滅的な飲み方はしない。家族を大事だと思ったら、もっとセーブする。この作者にも、同じことを言いたい。酒を飲む楽しみを陶酔して書いているのを読めば読むほど、その周囲の人たち、とりわけ家族の女性や子供たちがどんな気持ちでいたかをどうしても考えてしまう。いやな読み方かもしれないけどね。

とはいえ、おいしそうなつまみの話がいっぱい出てきて、食べたい、飲みたいと思えるような本ではある。自分が楽しむとき、自分の体や家族のことも少しは考えてくれたらいいのにね。そんなこと、なーんにも考えないでこの本を楽しめる人は気楽でいいなー、と思うよ、私は。