そうやって戦争は起こるんだよ

お風呂で、おちびがいきなり戦争の話を始めました。地震はどうしようもないけれど、戦争って起こさないようにすればいいんだよね、って。だから、戦争になりそうになったら、話し合いをちゃんとすればいいんだよ、というのが彼女の主張です。

でも、いきなり、ぼんぼん爆弾を落とされちゃったりしたら、話し合ってる暇はないでしょう。昔みたいに、刀で切りかかってきたら、「ちょっと待て。まず、話し合おう」という暇もあるだろうけど。と言ったら、「そんな事されないように、相手に悪い事をしなければいいんだよ。」ですって。

でもね。何が悪い事かって、それぞれ考えが違ったりするでしょう。自分では正しいと思っていても、それが相手には悪いことだったりする。たとえば、おちびは、おにいとしょっちゅう喧嘩になるけど、自分はちっとも悪くないと思ってるでしょう?でも、おにいはおにいで、やっぱり自分は悪くないと思ってるんだよ。

うちの兄弟は、八歳も歳が離れていて、他人様からは、「それだけ離れてると喧嘩にもならないでしょう?」なんて言われますが、とんでもない!毎日、やり合ってます。九歳と十七歳が、本気で闘ってます。理由は、いつも実にくだらない。洗面所を先に使おうと思ったら横入りしただの、先におやつを食べただの。

それは全部おにいが悪いんだ!とおちびは息巻いているけれど。戦争ってね、そうやって起こるんだよ。お互いに、自分だけが正しいと思って、相手の言い分を聞かなかったり、相手の立場を理解、想像できなかったりするから、起きるんだよ。

いま、日本は戦争をせずに過ごしているけれど、これからもずっと戦争をせずに済むかどうかはわからない。それを決めるのは、大人になったあなた達かもしれない。もし、本当に戦争を起こしたくない、とおちびが思うのなら、これから一週間でもいいから、おにいと喧嘩をせずに過ごす方法を考えてごらん。喧嘩無しで過ごしてごらん。

・・と言ったら、おちびは、少し考えて「無理。」ですって。やれやれ。
以来、毎日のように、私、争う兄弟の仲裁に立っては「そうやって戦争は起こるんだよ」と言ってます。言うたびに、ちょっとだけ、はっとしていたおちびも、もう、慣れちゃった。

いったい、どうやったら、戦争は回避できるんでしょう。

2008/6/29