ひとしずくの水

ひとしずくの水

2021年7月24日

「ひとしずくの水 A DROP OF WATER」
ウォルター・ウィック あすなろ書房

ひとしずくの水が、コップの水面に落ちる瞬間の写真が、表紙になっています。
水のしずくには、上下が逆さまになった風景が写っています。
美しい淡い光がすきとおっています。
まるで、額に入れて飾りたいようなきれいな表紙です。

その昔、まだ小学校の中学年頃だったでしょうか、当時購読していた学研の「科学」に、ミルククラウンの写真が載っていたことがあります。
コップのミルクが跳ねる瞬間。
冠のようにミルクが丸くとがって、不思議な形を作り出していました。

いま思うと、白いミルクだったのは、すきとおるただの水では、はっきりと写せなかったからかもしれません。
写真技術は、進歩しているのですね。
この間紹介したダンゴムシの絵本もそうでしたが、写真は、小さなものの細部まで鮮明に捉えることができるようになっているのですね。

水の分子の話から始まって、表面張力や付着力、毛細管現象、分子の運動と、固体化、気体化、凝固、雲、雪、露、霜、虹、そして終わりのない旅。
水の様々な形が、鮮明で美しい写真と共に説明されます。
難しそうな現象も、はっきりと目で捉えられるので、きっと小さなお子さんでも、かなり分かりやすいのではないかと思われます。

科学絵本として素晴らしい。
けれど、それ以上に、自然の美しさに心打たれます。
それは、写真の素晴らしさでもあるのです。

あえてトリック撮影などは使わず、オーソドックスな写真技術で撮影しているそうです。

2011/2/25