もういちど、あなたと食べたい

もういちど、あなたと食べたい

137 筒井ともみ 新潮社

作者は脚本家。映画「阿修羅のごとく」で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞している。

作者が食を共にした、故人である俳優、映画人などとのエピソードと、もう一度一緒に何かを食べられるのなら何を食べるかが書かれている。登場するのは以下の人たち。

加藤治子、松田優作、深作欣二、北林谷栄、久世光彦、和田勉、柳井満、岸田今日子、森雅之、工藤栄一、原田芳雄、藤田敏八、向田邦子、佐野洋子、須賀敦子、大原麗子、金久美子、夏目雅子、樹木希林、野上龍雄、森田芳光、そして自身の家族(伯父は信欣三、伯母は赤木蘭子、ともに俳優である)。

好きな人、憧れた人、あんまり知らない人。いろんな人のエピソードがあった。松田優作が亡くなる少し前、その輪郭が白く光って見えたという話。それから、向田邦子にも事故の直前に会っていて、同じように輪郭が光っていたという話。加藤治子の、ここにも書けないこわーい話、などなど。ちょっと思わせぶりでどうなの、と思いもするが、興味深くもある。

久世光彦は食より女の人なので、食べるものには頓着しなかった、と聞くと、さもありなん、と思う。夏目雅子が酔っ払って道路にあおむけに横たわって何か歌うように声を出していた話なんて、ああ、見てみたい、それだけで映画じゃないか、と思う。

上記の人たちの一人でもファンだという人は読んでみる価値があるかもよ。