コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店

コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店

30 町田そのこ 新潮社

町田そのこ。なるほど、上手だよなあ、と思いながら、どこか違和感が残ることもある作家だった。それは、登場する子供たちがあまりにも大人びている…というよりは、自分の状況を言語化しすぎてしまうリアリティのなさが原因。この本は、主人公の中学生が歳相応の悩みかたをし、それを大人がフォローしているので、そういった違和感があまりない。であるがゆえに、十分楽しめた。そもそもは上手だし、とても引き付ける作家だからね。いいじゃん、この本。

九州だけのコンビニチェーン、テンダネスの門司港こがね村店の店長はフェロモンを振りまくイケメンである。そこで働くパートのおばちゃんは実は漫画家で、フェロモン店長をモデルに作品をひそかに描いている。コンビニを舞台に、様々な人が悩みごとを抱え、それを皆で解決していく物語。出来すぎと言えば出来すぎの展開が多いけれど、物語のトーンとリズムが読者を運んでくれる。すいすいと読めて、いい気分になれる、なかなか良い一冊だと思う。

続編もあるらしい。読んじゃおうかなっと。