ジブラルタル・タンジェ・バルセロナ旅行記 3

ジブラルタル・タンジェ・バルセロナ旅行記 3

2023年3月1日

朝、港まで送ってくれる車に乗り込む。若いスペイン人のドライバーだ。車内に流れる音楽を聴いて「ルパンだ!」と思わず声が出る。アニメ「ルパン三世」のテーマ。ドライバーのあんちゃんが、スペインなまりの英語で、自分は日本のアニメのファンである、と言い出す。そこから、アニメや日本について熱く語り始める。ドラゴンボールが好きだの、スマホには悟空が貼ってあるだの、子どものころから日本のアニメを見て育っただの。スペインにはハポンという姓があって、それは昔日本から来たサムライの子孫であると言われているなんて話も。支倉常長の名前まで出てきたのには驚いた。慶長遣欧使節の話をこんなところで聞くなんて。なんだかんだで聞きつつ時に茶々を入れていたら、あっという間にタリファという港に到着。彼には、ついつい多めにチップをはずんだ(笑)。

港で、結構長い時間待ってからフェリーに乗り込む、思ったより大きな船。船内でモロッコの入国手続きができるのはありがたい。そして、タンジェの旧港に到着。ここからタクシーに乗ってもいいんだけど、歩いても15分くらいだから歩こう、ということになる。タンジェは古い城塞都市。ぐるっと城壁が周りを囲んで小高い丘に町がある。ということは、登りじゃないか。

トランクを抱えてだらだらと坂を上り、階段を上り、息も絶え絶えになる。登れば港と海が見渡せてよい景色ではあるが、きついぞ。そして、予約した宿ラ・メゾン・ブランシェに到着。木製のどっしりした戸が閉まっていて、いったいどうやって開ければいいのか?迷いながらノッカーを何度かたたく。おお、開いた。中は伝統的な建築様式で、内側に噴水がある。

部屋は三階。伝統様式の建物だから、エレベーターはないのよね。これが地味にきつい。でも、部屋はとてもきれいでかわいらしい。

お昼過ぎでお腹が空いていたので、おすすめのレストランを尋ねると、オーナーの息子らしき少年が迷路のような道筋を案内してくれる。家庭的だわ。なんとなく、町には私が子供だった頃のような感覚がある。ふと気付いたのは、子どもがあちこちで走り回り、遊びまわっている声がすること。昔の日本はこうだったなあ。紹介されたレストランではタジン鍋を食べた。食べたのは、レストランの屋上。

近くのイブン・バットゥータ博物館へ。ああ、世界史を勉強していてよかった。でないと私、この人名がきっとわからなかったわ。14世紀に世界中を旅してまわった彼は、タンジェの生まれだったらしい。この人ね。

カスバ(城塞都市)の道は狭く、迷路のよう。子どものころ読んだ「アラビアン・ナイト」の挿絵を思い出す。

夜はまた夜で美しい。

その夜は疲れて泥のように眠った。タンジェには二泊する。明日は歩くぞ。

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