ペレのあたらしいふく

ペレのあたらしいふく

2021年7月24日

「ペレのあたらしいふく」エルサ・ベスコフ

最初読んだとき、「ふーん、それが、何か?」と思いました、ええ。でも、読み返して、「すげー」って思ったんです。ペレって、かっこいい、って。

ペレっていくつくらいでしょう。絵を見る限りじゃ、おちびとおなじくらいです。10歳前後。

ペレは、自分で羊を飼っています。羊の毛はどんどん長くなるけど、ペレの服は、どんどん短くなる。
そこで、ペレは、羊の毛を刈ります。おばあちゃんに、毛をすいてもらう代わりに、にんじん畑の草取りをします。
もうひとりのおばあちゃんに糸をつむいでもらうために、牛の番をします。
糸の染め粉を貰うために、ペンキ屋さんのお使いで、舟をこいで雑貨屋さんに行きます。
そして、自分で糸を染めます。
お母さんに布を織ってもらう間、妹の世話をします。
それから、仕立て屋さんに、服を縫ってもらうために、干草を集め、薪を運びいれ、豚にえさをやります。
そして、日曜日、ペレは新しい服を着て子羊のところへ行きました。

ペレは、服が必要だ、と気がつくと全部自分で算段するんです。そして、周りのオトナも、ペレに何か頼まれても、ただでは、やってやらない。ちゃんと、代替の仕事をさせます。ペレは、ちっともいやそうじゃない。そして、ちゃんと、やってのけます。オトナも、ペレのために、ちゃんと、やります。

小さな子たちが、それを見ています。最後には、薪運びを少し手伝っていたりもします。そうやって、子ども達はいろいろなことを体験し、覚え、成長していくんだとわかります。

最後のペレの誇らしそうなうれしそうな顔。そして、周りの大人たちの暖かさといったら。すごい、と思います。

ペレはすごいね、偉いね、かっこいいね、とおちびに言いました。くやしがりのおちびは、「ぜんぜん。」といいます。「そんなに羨ましかったら、おにいをペレみたいに育てればよかったじゃない。」あら、おちびじゃなくて?「だって、ペレは、男の子だもの。おちびの役は、お母さんが布を織っている間、おにいに世話してもらう妹役だよ。」ですって。なるほど。

2008/10/24